エンカレッジシートの紹介

1. エンカレッジシートって何?

     学級で起こった問題について、4つの問いに生徒が意見を書くシートです。


2. 何の為に使うの?

     学級の問題を自分たちの問題として解決する為に実施します。


3. どのような問題に使えるの?

    1)学校生活の集団に影響を及ぼす問題行動のすべてに活用できます。

        学級の約束事(挨拶・忘れ物・学級内への持ち込み・時間を守る等)

        授業への集中(おしゃべり・提出物・グループ活動の協力等)

        対人関係のトラブル(物が無くなる、イタズラ、暴力・ケンカ、器物損壊)

        いじめ問題、(からかい、特定の生徒への落書きや紛失物)

         LINEやスマホなど、様々な事例での活用が可能です。


4. 導入のタイミングは?

        問題が深刻な時に限らず、初期の問題発生時等、どのような時でも導入が可能です。


5. どんな効果があるの?

        学級全員の意見が共有されて自分たちの問題として解決されます。

        同時に生徒の勇気と自主性を育み健康な学級を育てる教育的な目的があります。

        実施した教師からの報告。

        1)一度の実施で問題が消失した。明らかに減少した。

        2)学級の雰囲気があったかくなった。

        3)当事者同士の関係が改善された。


6.エンカレッジシートの足跡


   2001年に、中学校で産声を上げたエンカレッジシートは、事例に応じて実践された    

  学年団や担任の熱意によって、活用されてきました。

  その実践内容は、現在の四つの問いと指導展開に反映されています。
  エンカレッジシートは、著書にて発表する機会を得て、これまでの実践を整理し内容  

  の精選を行いました。「これ一枚で学級の問題が解決できるエンカレッジシート」学 

  事出版2018年9月刊行。「エンカレッジシート」の名称は、商標登録2019年にしてい

  ます。

 
これまでの足跡を大まかですが、ご紹介したいと思います。
 
  1. いじめの解決法・・・「勇気づけのシート」8つの問いでスタート 
   2001年に、中学校で転入生へのいじめ問題が起きた時、「勇気づけのシート」とし

   て、8つの問いで発案されました。いじめ問題の解決策として、生徒間の勇気づけ

   を目的としたそのシートは、学級指導に活用されました。その8つの問いは、

    ① いじめられた人に思うこと  
    ② いじめた人に思うこと 
    ③ いじめがあった学級へ思うこと
    ④ いじめられた人へ勇気づけの言葉
    ⑤ いじめた人へ勇気づけの言葉
    ⑥ いじめがあった学級のへ勇気づけの言葉
    ⑦ 解決策 この問題が解決したらどのような学級になるか 
    ⑧ どのような学級にしたいか
 
   実施目的は、①犯人探しや原因探しではない。②いじめは、学級全体の問題である

   こと。

 ③共同体感覚を育て学級の成長につなげる。
   生徒へのメッセージは、次の3つとしました。「互いに認め合う・相手の立場にな

   って考える・互いの考えを尊重する。」

   学級で起きたいじめを生徒たちが、互いの共通の問題として捉えて、勇気づけあい

   ながら問題解決の取り組みを始める方法を模索したのです。

   初めての試みに、一回の実施でいじめが解決され、学級の成長にもつながったと報 

   告されました。


 2. 8つの問いから4つの問いへ

  エンカレッジシートは、いじめの解決策としての他に、問いの文言を変えながら、学

  級内の様々な問題行動の解決策として実践されました。さらに学級活動のルール作り

  や行事(合唱等)の生徒間の勇気づけなどにも活用されました。その他、部活動の問 

  題解決など少しずつ、活用の幅が広がっていきました。このような教育実践の中で、

  学年・学級担任の成果と課題の報告から、問いの項目を4つに精査し、指導展開に検

  討を加えていきました。

  2001年に発案されてから、教育実践の中で、問題解決法として醸成していったので

  す。

 
 3. 担任から・・・成果はあるが、問いのまとめが大変 !! 
   エンカレッジシートは、学級内の問題行動がなくなる。生徒間の勇気づける言葉が増 

  える。学級があたたかい雰囲気になる等、一回の実施で成果があると報告を受けてい

  ます。ただ、実施後二日以内に生徒にフィードバックをする作業に時間がとられま

  す!! 

  学級の人数分の4つの問いを項目ごとに打ち込みしてまとめるこの作業が大変なので

  す。

  この単純な作業の中に、生徒の思いの新たな発見もありますが、担任一人ではなく副

  担任や関係の先生方の協力があるとスムーズに運びます。

  これまで様々な生徒の問題行動を学年団で検討した活用例では、一切に作業をした報

  告もありました。

 
  いつの時も生徒に寄り添う教師の熱意によって活用され、エンカレッジシートで学級

  や生徒が、変わったという報告は大きな喜びです。

 
 
参照文献
「月刊生徒指導 アドラー心理学で生徒指導」2017年 6月号 10月号
 
鈴木義也 青沼眞弓
「これ一枚で学級の問題が解決できるエンカレッジシート」学事出版2018年9月